近年,生け垣も竹垣も土塀もなかなか見かけない.地元ではちらちら見たものだが,東京に来てから,たとえ大和郷といえども(あるいは近代の産物大和郷だからこそかもしれないが)ほとんどがブロック塀である.建て主側の意識の問題も当然あるが,一方で垣根を作れる庭師も相当に減っているのではないかとも思う.一定の垣根の作法は庭師だけでなく家主が知っておくべきことでもあろう.本書はよくまとまった作法解説書で,特に垣根については伝統墨守の立場ではなく,いかに応用するかという例も紹介している.それにしても沼津垣は美しい.