実はBASARAはこれまで何回かアタックしていたのだが絵柄と登場人物の名前がどうにもなじめず1巻を最後まで読むことが出来ないでいた.今回はスッとはいることができた.話としては「天は赤い河のほとり」にやや近い.ただし完成度は「天は」に一歩譲るように思える.
朱理=赤の王,更紗=タタラが双方に認識されるまではあまりにひっぱりすぎだし,逆に認識した後,恋人は宿敵という文学上ポピュラーな主題における双方の葛藤の描き込みは足りない.また圧制者たる国王がなぜ圧制者たらざるをえないかがよくわからない.敵方にも事情があるはずで(夜郎組で表現しているがとても足りない).いかにして悪の立場に立ったのか.それを単なる悪者ですませてしまっているのは惜しい.