4. 漢江のむこうへ
朝は6時近くに起きた。晴れ。
韓国に渡るというのに、さしたる感慨も起きない。結局ゲートタワーホテルに滞在していたのは8時間あまり。そのうち7時間近くは寝ていたと思うと、もったいない気もするが。そのあたり俗っぽい考えであろうか。荷物は特にまとめる必要もない量。とっとと関空へのリムジンに乗る。冬の朝。若干のすがすがしさも感じるが、やはり眠い。早起きはこの旅行のキーワードとなってしまっているようだ。
まだ明け切らぬ中、空港への橋を渡る。無国籍な情景であろうか。ハイウェーとエアポート。
関空のターミナルの造りはなんとなく成田の第2ビルと羽田を複合した感じである。国内線と国際線の乗り換えの便は図られているよう。ハブ空港への野望か。
国際線出発ロビーで朝食。サンドウィッチ。味気ないものである。若干空調が利きすぎで暑い。適当に時間を潰したあと、出国審査、手荷物チェックを淡々とこなす。友人が引っかかった。ベルトの金具のせいである。以降韓国出国、関空出発でも同じことが繰り返された。ANAの関空-金浦便は、767であった。どうにも外国に行く気がしない。東京から岡山にでも行くかのようである。
機内での時間は、2時間程度であったか。食事もさせてくれたが、随分せっぱ詰まったフライトに感じた。対馬海峡をこえ、やがて韓半島の上空にさしかかると、アッという間に高度を下げはじめる。眼下は山がち、というより丘陵地の連続にように見える。山は茶色く、岩がちである。ときおり雪もかぶっており、一カ所ではあるが、スキー場も確認することが出来た。韓国でもスキーは盛んであるとも聞く。
ただ全体的な印象としては、日本の中国地方上空を飛んでいるのとはさして変わらない、ということである。麦畑が連綿と続くわけでもなく、厳しい山地とそれを縫うような深い谷があるわけでもなく、深い森林というわけでもない。ときおり確認できる建物もやはり日本とさしては変わらないのである。すくなくとも上空からの一瞥は、文化的に複合する点も多い、ということを確認させてくれた。
やがて巨大なマンション団地群がおおくなると、ベルトサインが点灯。韓国は集住型のようで、とにかく団地が目立つ。高層マンションの巣、というのが着陸直前の風景であった。漢江も確認する。
金浦空港に到着。札幌-沖縄より短いフライト。隣国は非常に近い。わたし自身は正確に把握していたつもりであるが、やはり内心の意識として、日本という地域が、絶海の孤島、の様な印象を抱いていたのは否めないようである。国境感覚の異様な強さは、日本人には大変わかりやすい。海の外、と思えばよいのである。逆に、バリアフリーな国境というものを考えにくい民族であるのかも知れない。しかしそんな環境にないような、陸続きの国々の人々はナショナルアイデンティティーにこだわるのだろうか。理解しがたい点である。
金浦はドメスティックも兼ねた空港である。大韓とアシアナがやはり多い。私たちは、外国機専用らしいターミナルにはいる。となりではユナイデットのジャンボが翼を休めていた。
というわけで途中までです。