東京は久しぶりに温和な一日を迎えた。目を覚ましたのは10時頃。新聞をとりに部屋を出てみても、身を切られるような寒さはない。NHK-FMの「20世紀の名演奏」でトスカを聞いてから「クラナッハ」で珈琲を飲んだ。やはり暖かい。こんな日はすこし薄着で外に出てみたいと思った。
しかし昼を過ぎてから遠出するのもなかなかに面倒くさいし、日曜だから人が多いかもしれない。ということで、丸の内に出てみた。案の定人が少ないし、うちからわずか10分。皇居前広場の空は広かった。外国人観光客がちらほらと見られる程度で、ほとんど場を独占している感じだ。東京駅を出て和田倉門から広場に入り二重橋を通って、桜田門。何もないのが良い感じだ。あえて見ようと思わせるものが何もない。ひたすら空が広いだけ。
桜田門を出てから、法務省旧本館の前を通って祝田橋、日比谷公園を経て、晴海通りに出た。銀座も思ったほどの人出ではない。ちょろちょろとあちらこちらをのぞいてから、珈琲を飲み、マリオンで映画を見た。後から考えてみるとただだらだらと歩き通しただけであり、あえてなんだというほどのものでもなかったが、あの界隈を歩くのは久しぶりでちょっとご満悦である。まだまだ銀座は発掘しうるポイントが多いかもしれない。今の人気は裏通りであるというし。
見た映画は「海の上のピアニスト」。ストーリー的にはたいしたことがないが、画像は著しく楽しめる。あえていうならイメージ映画であろうか。20世紀初頭の大西洋航路の一等客室から船底の機関室までこまめな描写が出色。霧のニューヨーク港に入ると最初に姿を現すのが巨大な自由の女神だ。これを見て叫ぶ移民たちの「America!」の想いは真実であり、そのころのアメリカはこんな輝きも秘めていたのかと驚かせる。
家に帰ってみるとJR東海の資料とエントリーシートが届いていた。