11月に入って、国立国会図書館のNDL-OPACで「雑誌記事索引」が使えるようになった。これまで論文を探すには、大学の図書館などが契約したMagazine-Plusなどのサーヴィスを通じて検索するしか手段はなかった。たとえば慶應義塾の場合は、図書館に行ってWeb接続のコンピュータから検索するか、学内ネットワークに接続してからでないと検索できなかったのである。それがインターネットを通じて誰でも無料で使えるようになったこと、その意義は強調してしすぎることはないだろう。論文を探して読むというプロセスは、物事を学術的に調べようとしたら避けて通れない。しかし、論文を検索する手段が、これまでは研究機関に所属しなければ、ほとんどないという状況であったのだ。
今回のNDL-OPACでの「雑誌記事索引」の公開によって、はじめて人文系の研究でも網羅的な雑誌論文データベースへのアクセス手段が、広く共有されるようになったといえる。現状では、研究機関に所属しなければ、物事を調べることは非常に困難である。論文へのアクセスを除けば、まだ色々な困難さがある。そのあたりの図書館に学術雑誌が入っていないということなどは、その最たるものだろう。しかしそれでも、その困難さの一つが取り除かれたということは、「在野の学」のためによろこぶべきことであろう。インターネットの恩恵がようやく人文科学にも及んできた。