さて。起きたのは日も傾いた16時であった。珈琲さえ入れる気力が無く、喫茶店へ。
研究会も行けなかった。どうやっていいわけをすべきであろうか。
用意をして、取手へ戻る。日曜日に祖父母の金婚式のお祝いがある。そのためである。
家に帰ってから、本を読みさし、3冊読了。
- 剛しいら『子守歌…消えた』角川書店、1997
- 深沢理絵『いとしのレプリカ』講談社X文庫ホワイトハート、1997
- 朧谷寿『藤原氏千年』講談社現代新書(1322)、1996
「子守歌……」は、良くできた書物である。剛自身があとがきで言及するように、親子を正面から捉え直「そうとした」作品。僕はいやらしさの方が勝っ ていた気がする。June本に多いが、そこまで性におぼれた人間が多いか?という設定だ。イラストが水上有理だったせいか、あえて言わせてもらうと、山藍 紫姫子に非常に近づいたように感じる。
「いとしの……」はビジュアル系ネタ。感じとしては同人誌の中篇の単行本化。2篇のみで、双方導入に過ぎないので、論評は出来ない。もっともよく知らぬビジュアル系のライヴの雰囲気が伝わってきたわけで、そこから考えると、深沢もベテランの域に入ったと言えようか。
最後に3は、前後に薄く、中に濃いといった感じである。著者自身の言葉通り、人物を感覚的に捉え活写している。「小右記」の小松宮右大臣などがとて も面白い。それから近衛家の祖が後白河院の「愛物」であったことも今更知った。頼長のみを色々詮索していたのだが、院政期という時期特有のものがあるはず である。あきらかに中世男色史を寺院内のみで見ることの誤りを指し示すものであろう。ともかく。道長の著述はさすがに多いが、前後にもうまく手を伸ばして おり、適切な入門書といったところであろうか。最近、日本史関係の専門書をあまり読まぬ身には反省ともなり、刺激ともなった。
家に帰るたびに読んでしまう、「トーマの心臓」を読んで就寝。