韓国の政治、社会、歴史、文化をすべて理気学という朱子学の発想で読み解こうとする奇抜の書。中国が満洲族の清朝に下ると、半島では、にわかに朝鮮こそが中華なりとして、理気システムの発達が急速に進んだ。そしてそのシステムは現在まで続いているのである。
韓国人の冷たいまでの合理性や議論好き、口を開けば、あなたは「~すべきだ」という偉そうな態度。その一方で市場のおばちゃんのあたたかさ、電車で隣り合った韓国人のひとなつこさ。この矛盾は解きがたく思ってきた。ところがこれは実はヤヌスの両面だったのだ。理と気、相互に一体となった裏表。理気システムに全ては内包されていたのだ。
全く持ってひさしぶりに納得してしまった文化論である。