一通りたばこの毒性と嫌煙権訴訟をしるにはもってこい。ただし嫌煙原理主義的な部分もあるので、喫煙者の方は度量の広い人以外には勧めない。
依存症があるたばこというものを売るためには、いかに20代で定着させるかが勝負であり、煙草会社は20代には味よりもイメージが有効であると熟知してその販売戦略を編み出している、という点はまったくもって納得させられる物がある。たとえば、「たばこは20歳になってから」の文句はむしろ20歳以上のステータスを強調しており、憧れとしてのたばこを作り出している、という指摘である。
ただ俯瞰すると嫌煙権運動はまるでアヘン戦争前の弛禁論、厳禁論の色合いを帯びてきているように思う。本書が、現在以降の見通しを示してくれないのが残念である。