10月11日、Mozilla 0.9.5-build 2001101117がリリースされた(Mozillaについては、mozilla.orgないしはもじら組を参照)。マイルストーン0.9代も半ばにさしかかり、ロードマップの通り順調にゆけば来年の春までにはMozilla 1.0が陽の目をみることになりそうである。その関連でいくつかのドキュメントも出てきており、期待感が高まっている。そんな中、Mozilla 0.9.5はマイルストーンとしてはかなりの変化のあったバージョンだと思うので、若干の感想。使いやすかったのでメインのブラウザをIEからこちらに変えてしまった。
タブブラウザとして
マイルストーン(Mozillaは開発中のブラウザであるが、その中でとりあえず安定して動くヴァージョンとしてリリースされるもの)としてはこのバージョンからはじめてタブの機能が追加された。これまでタブはiCabやMultizillaなどの一部のブラウザにしか装備されていなかった。
一般的なブラウジングは一つの画面だけで次々とリンクをたどるというよりは、いくつかの窓を開いておきそれぞれリンクをたどるといった使い方をすることが多い(このため新しいウィンドウが勝手に開くのはどれがどのウィンドウだかわからなくなるので迷惑)。ところが一般的なブラウザは新しく窓を開くたびにタスクバーにどんどん増殖して、それぞれのウィンドウのタイトルが読めなくなるという事態が頻発していた(WORDなどでも発生するMicrosoftのよろしくない習性)。これはタブが使えれば解決することである。IEではWindows XPによって解決するようであるが、なにもOSレヴェルで制御するようなことではないのである。
このタブの機能は非常に便利なのであるが、以下の点から、まだ未完成という感がぬぐえない。
- 新しいタブはCtrl–T、あるいはハイパーリンクにカーソルを合わせた時のコンテクストメニューから「新しいタブで開く」で開くわけであるが、「新規ウィンドウ」のようにメニューに明示的に示されておらず、場合によっては気づかない。
- タブを切り替えた場合、後述のリンクナヴィゲーション・ツールバーが、切り替えた先に合わせて即座に変更されない。
- タブで表示している場合、代替スタイルシートをつかったり、Java Scriptを使用した場合に、突如として落ちることがある。
私はBugzilla(Mozillaのバグについての報告、分担などがおこなわれる場)やNightly Build(日々開発される中でほぼ毎朝登場する最新版)を丹念に追いかけているわけではないので、現状で修正されているかどうか、本当にバグであるのかどうかはよくわからないが、私が使った限りではこのような問題があったように思われるのである。
上記のような問題をはらみながらも、本バージョンのタブブラウザとしての有用さはいささかも失われるものではない。よってこの機能の追加に拍手を送りたい(なんだか学位論文審査の文句みたい……)。
リンクナヴィゲーション・ツールバー
一般にあまり知られていないが、HTMLには、link要素によってHTML文書内に、他の文書との関係を明示的に示すという機能がある。たとえば以下のように記述する。
<link rel="prev" xhref="/nikki/archive/20011016.html" title="【現代が歴史になるとき(2001年10月16日)】" />
これは文書の前後関係において、この要素が記述された文書からみて、前の文書は【現代が歴史になるとき(2001年10月16日)】であるということを示している。ほかにも「次へ」「上へ」や「最初」「最後」「索引」「目次」「検索」「著作権表示」なども示せる。
一見して非常に便利であることはわかると思うが、link要素は外部スタイルシートの取り込みくらいにしか用いられてこなかった。ナヴィゲーション用のlink要素が記述してあるページははなはだ少ない。その原因は単純で、これまでメジャーなブラウザではLynxなど以外にこれを生かす機能がついていなかったためである。Mozilla 0.9.5ではじめてナヴィゲーション・ツールバーとしてこの機能が実装された(Mozillaがメジャーであるかどうかは別として)。
一つの文書を複数のページに分けているサイトでは、それぞれのサイトごとにどこにナヴィゲーション用のリンクがあるかをいちいち探さねばならなかったが、Mozillaではナヴィゲーションがツールバーとして表示されるので、「戻る」や「進む」と同じ感覚で利用できる。大歓迎である。
問題点は前述のタブ機能を使用している場合にアクティヴなタブのナヴィゲーションがすぐに表示されるわけではないということ、それからlink要素によるナヴィゲーションを用意していないサイトが大多数であることである。後者に関しては私もようやく用意し始めたばかりなので偉そうなことは言えないが、レイアウトを変えるとかそういう面倒なことではないから、更新のついでに徐々に用意していってもらえると嬉しい。投稿数の多い掲示板などでは便利な機能だろう。もっともInternet Explorerで実装されない限り多数派になるとは思えないが。