PCユーザーは慣れてくるとだんだんにマウスが疎ましくなってくる。最初にわかりやすいのはいいのだが、ある程度システムが理解できると、直感というあやふやなもので操作すると時にエラーを出してしまうのである。つまりコマンドを打つのであればキーを押し間違えなければ確実にあるコマンドを入力できるが、アイコンをクリックするとなるとマウスで非常に狭い領域にカーソルをもって行かなければならないので、ときにその領域をはずしてしまうのである。
ましてノートPCのユーザーであるとタッチパッドなどのポインティングデバイスがいくら進化しても、いろいろなことをキーボードショートカットで済ませるようになるのである。そうなるとあるアプリケーションでショートカットを使って予想外の結果がおきると非常に困惑することになる。それが良く起きるのがWWWの世界である。
HTMLにはaccesskeyという属性が用意されている。たとえばこのサイトをInternet Explorer 6で見ているならば、Alt+2–Enterでトップページに移るはずである。これは、トップページへのリンクにaccesskeyとして2が設定されているためである。さてIEではAlt+aで「お気に入り」を開くというショートカットが設定されている。このときあるサイトでaccesskey属性としてaが設定されているとどうなるだろうか。結果としてはaccesskey属性が優先される。すなわちあるwebサイトを見ていたユーザーが別のサイトに移ろうとAlt+aでお気に入りを開こうとしても、トップページへのリンクへフォーカスが移ってしまうという全く予期しないことが起こりうるのである。
これがMozillaなどではさらに深刻で、Alt+bでbookmarkが開く。ところがアクセシビリティを考慮してaccesskeyを設定している多くのサイトではbを「戻る」のリンクのaccesskeyとして設定している。しかもMozillaではIEと違って、Alt+accesskeyでEnterすることなく、一発でリンク先に移ってしまう。そうするとbookmarkを開こうとするたびに戻ってしまうようなことが発生するのである。
思うにHTMLでaccesskey属性は不要なのではないか。UAがlink要素に対して各UAごとにショートカットを設定していれば充分なのではないだろうか。どうせHTML作成者が個々にaccesskeyを設定すれば統一的な設定もなされず、かえってユーザビリティを低下させるだけのような気がするのである。