印刷博物館で開催されているヴァチカン教皇庁図書館展に行ってきた。私は歴史的史料を期待していたのだが、展示品は基本的には全て聖書で、その約半数はファクシミリ版であった。紀元三世紀のものというすさまじいものもあったが、気に入ったのは非常に美麗なルネサンス期の個人祈祷用聖書。特にエステ家が使ったというものが素晴らしく精巧であった。啓典の美術性というのはすばらしいもので、これはコーランにも言える。一冊に対し、世界的宗教のエネルギーが結集するということは、こういうことを意味するのだ、ということがわかる。
量的にはやや不足の感もあったが、むしろ40冊前後というのが見て疲れない程度の量という気もした。