十二国記を読み終わったので三田図書館でとりあえずながく続くシリーズを借りてみる。
が、しかし。世界観の書き込みが圧倒的に足りない……やはり、これは少女向け恋愛小説に括られる小説にすぎないように思う。中華風の世界を舞台とし、その一国の後宮をめぐる物語なのだが、国や王、官の存在感が希薄なのだ。国をめぐる悲恋も登場し、亡国の恨みをはらす、ということが主要なモチーフの一つとなるが、亡国の原因やそれを巡る民のあり方というのがさっぱりわからない。もっとも、ここまでながくシリーズが続いているので、徐々に世界観も深まっていくのかも知れないが。