熊田一雄『“男らしさ”という病?―ポップ・カルチャーの新・男性学』

割とまじめな男性学本.ポップカルチャーに将来可能なより望ましいオルタナティヴとしての男性性(=抑圧されてきたかもしれない女性の中の男性性)を見極めようとする.その実例としてマンガ,アニメ,そして新宗教を論じる.出口王仁三郎に関する論考は秀逸.また日本のジェンダー研究が,先進国の中でも特に日本に強い特徴的な女性差別との戦いに投入され,男性史・男性学が未発達であるという指摘も重要である.特に「宗教と男性ないし男性性」の研究は決定的に不足している.私の専門分野とするイラン立憲革命期についていっても,ここ10年,イスラームと女性という切り口からの議論は一挙に進展したが,時期を限らずイスラームと男性という研究は非常に少ない.

鈴木均編著『ハンドブック・現代アフガニスタン』

雨後の竹の子のようにアフガニスタン関連本が出ているが,本書はもっとも信頼できる現代アフガニスタンに関する概説.憲法の日本語訳は他書では手に入らない.

網野善彦『蒙古襲来』(日本の歴史10)

私が読んだのは,網野善彦『蒙古襲来』(日本の歴史10), 1974.であるが,現在は図書館で読むことができるのみ.左にあげたのが現在もっとも手に入れやすい小学館文庫での再々版である.