将門と土御門陰陽道をリンクさせた発想としてはありがちな書。ただし皆川らしくその耽美性,おどろおどろしさ、純友の息子の青春などといった要素を織り交ぜる点は巧妙である。これも今川とものと同様、静岡新聞社への連載。村山修験、富士修験の抗争を描き出す筆は、網野的なものを感じさせる。
カテゴリー: 本
野田隆『ドイツ=鉄道旅物語』
東京書籍の紀行ものの一つ。かなりオムニバスであるが、楽しい絵を見ながら読みすすむうちにドイツの鉄道の特徴をつかむことが出来た。ゆっくりと、ついでに読むに適すと言うべきか。
赤木完爾『第二次世界大戦の政治と戦略』
推薦版.第二次世界大戦における外交の鞘当て、戦略と政治と外交の三つ巴、同時に連合国の思惑。大変に複雑な、第二次大戦を政治と戦略の観点から読み解く。大変おもしろい。
森川久美『イスタンブル物語』全6巻
第一次世界大戦後の混沌としたトルコが舞台。あのコスモポリタンなオスマン朝の影はない。ナショナリズムの怖さと、植民地の陰という、矛盾しつつも魅力あるテーマである。
吉村昭『高熱隧道』
トンネルを掘るのは何でなのか? 人の向ける土木工事への熱狂はどこから来るのか? 少し分かった気になれるかも知れない。
藤本ひとみ『逆光のメディチ』
さすが藤本氏。まだ未成熟な分野の本(Juneのこと)ばかり読むと、本格的な小説は、グッと来る。ボッティチェルリと描写がよい。
遠山美都男 『白村江』
百済の事情について、知るところが多い。また「敗戦」の意味を考えることが出来る。
杉山正明『遊牧民から見た世界史』
目から鱗。遊牧民を軽く見ようとするときは、一応参照して、考え直すのも重要か?
三橋冨治男『トルコの歴史』
ルーム・セルジューク朝史に詳しい通史。出版は古いが、今だ有用か。
後藤明編『文明としてのイスラーム』(講座イスラーム世界2)
論集。アッバース朝下の食生活に関してなどもあって、楽しい。
余部福三『イスラーム全史』
マッカ啓示からサダト暗殺まで便利な通史。文化・法学なども扱う。事典があれば手元に置いておきたい。
高川敏雄『「簡単」ホームページの作り方―必要なソフトから動画・音声の入れ方まで』
最初から言うことを聞いて、HTMLで作っておけばよかった。
加藤九祚『中央アジア歴史群像』
有名な方なのですが……。なにか認識不足と偏見過多が目に付くような気がします。