三田でごはんを食べているときに入ってきた驚愕のニュース。NHKが報じた。日本航空(JL)がデルタ航空(DL)から資本を受け入れる、すなわち大きな航空大手外資を受け入れるかも、という話。非常に思い切ったことだ。JLはもともと国策会社であって、いかな赤字を出そうとも最終的には国がなんとかする、と長年目されていた。したがって、このことは、もはや親方日の丸とかナショナルフラッグとかいっている段階ではない、ということ。航空局が全日空(NH)に乗り換えたとかそういう見方も出来るかもしれない。ともかくデルタ航空が主導権を握ることになれば、組合や企業年金も相当の圧力を受けてこれまでのようにはやっていけなくなるだろう。
ロイターの現在の記事によればJLはコメントを拒否している。ほかにもいくつか記事が出ていて、たとば
日航がデルタに出資要請 エールフランスにも打診-北海道新聞[経済].
がある。道新によればJLはエールフランスーKLM(AF-KL)にも出資要請を打診しているとのこと。この記事で特に重要なのは
日航は「ワンワールドはアジアなどの路線網が弱く、加盟している利点は小さい」(幹部)とみており、
というJLの見方である。
現在、世界は3つの航空連合を軸に再編が続いている。これは
- 北米のユナイテッド航空(UA)と欧州のルフトハンザ・ドイツ航空(LH)を中心とする[[スターアライアンス]]
- 北米のアメリカン航空(AA)と欧州のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を中心とする[[ワンワールド]]
- 北米のデルタ航空(DL)と欧州のエールフランスーKLMを中心とする[[スカイチーム]]
の3極で、つい先だってはLHによるオーストリア航空買収完了の報道があったし、それ以前ではアリタリア航空(AZ)のAF-KLの資本参加があった。JLはこのうちワンワールドに加盟している。
このような流れのなかで、JLはスカイチーム側への移行を考えている、ということになる。JLは実はスカイチーム側の各社とも関係はそれなりに深い。もともと日本とフランス間ではAFと、オランダ間ではKLとそれぞれ共同運航を行っているし、AZや大韓航空(KE)などとも同様の関係がある。DLの場合は、すでにデルタと合併したノースウェスト航空(NW)がJL立ち上げの際に運航を担当していたほか、日本における歴史は古く、またJLに合併された日本エアシステムと提携関係にあったことなどがある。
DLとしては、自社の日本発の[[以遠権]]ネットワークと中国南方航空(CZ)とKEの持つ巨大なアジア内ネットワークにJLを加えることができる。これにより、成田国際空港のDLのハブ空港としての役割と意味が著しく増大する。また客単価の下落が激しくなりやすい太平洋路線のおいては、JLとDLの両社で調整できれば、安定的な供給・運航によってAAを追い落とし、NH/UA/CO/AC/SQなどのスターアライアンス各社との競合がやりやすくなる。
その一方でAAの太平洋線の数はたいしたことないし、アジア内の加盟社もキャセイパシフィックのみ。このようにみるとJLがワンワールドにいたのって、なんだったのという感じだ。
もっとも成田のターミナルだとか、そもそもアライアンスの組み替えやるのかとか、いろいろ問題はある。さらにいうと正式発表ではないので、外資入れるぞという労組やOBへのブラフなのかもしれない、とさえ思う。どちらにしろ事実なら、ここ数年の航空ネタでは飛び切り大きなお話であることは間違いない。