神と忠誠

合衆国での宣誓の文句「…. under the God.」がいま物議を醸している。ある無神論者が、息子が学校のある場面で宣誓を求められたことについて、合衆国憲法修正第一条違反であるとして訴訟を起こした。これについてサンフランシスコ巡回高裁が違憲の判決を下した。その結果、すさまじい議論がわき起こっている。これについてはCNN.comのCNN.com – Vast majority in U.S. support ‘under God’ – June 30, 2002をご覧になるとよいであろう。

Newsweekの世論調査によると約四分の三近い回答者が、この違憲判決に反感をもっているようである。これについては「特定の神」をさすものでない限り、という保留がつくものの、the Godはセム的一神教の神であろう。under Godsといってはたぶんいけないのだ。議論の展開を見守りたいと思う。

千代田区の路上喫煙禁止

昨日、千代田区議会において、路上喫煙を防止する条例案が可決された。指定地域において路上喫煙は禁止され、再三の警告に従わないなど悪質な場合には罰金が科されるというものである。私のフィールドでは、神保町がこの地域に引っかかる(靖国通り)。

私は喫煙者として、法および可能な限り公共のマナーに従うべきであると考えているし、ポイ捨ては特に許し難い行為であるので、本条例には賛成の立場をとる。喫煙できる場所を制限することで、可能な限り公共の福利を擁護しつつ、少数者である喫煙者の権利が守られることにつながると考える。

イラン地震続報

イラン・イスラーム共和国内務省はガズウィーン地震に対するアメリカ政府の援助申し出を拒否した。アメリカ籍のNGOによる人道援助は歓迎するとしている。あいかわらず両国関係はこのあたりが落としどころのようだ。もっともアメリカ国務省が受入の可能性を信じて申出を行ったとすれば話は別だが。

なお、テヘランタイムズや、アル=アハラムによると、イラン内務省の対応に地方政府および民衆からの不満が高まっているようだ。知事は政府の肝いりとはいえ、地方自治がはじまったばかりのイランでは対応を誤るとやっかいなことになる可能性もある。

イラン地震について

複数のメディアが報ずるとおり、イラン北西部ガズウィーンを中心に大規模な地震があり、数千人の犠牲者が出ている模様だ。Tehran Timesによると、もっとも被害が大きいのはテヘランから西に400kmほどのガズウィーン州。

イランの地理は、おおむねハンバーガー状であると言える。土漠高原から構成される中央部を、カスピ海岸の北部、ペルシア湾岸の南部が包み込む形と なっている。もとより、中央部は水に乏しく、地味も痩せ、人口が少ない。したがって、人口稠密な地域は挟み込むパンの部分(北側にはテヘラン・タブリー ズ・マシュハド、南側にはアバーダーン、ホッラム=シャフル、バンダレ=アッバースなどの都市を擁する)である。特に北東のホラーサーンとならんで、北西 のアーザルバーイージャン(いわゆる南アゼルバイジャン=イラン領アゼルバイジャン)は、水が得やすく緑豊かで、地方として見る限りもっとも人口の集中し ている地域である。今回地震の中心となっているガズウィーンはそのすぐ南東にあたる。

イランにおいて地震の多発する地域は、カスピ海岸、特に北西と北東である。したがって、イランにおいては農業生産の高い地域と地震の多発する地域は ほぼ重なっていると言える。このことは必然的に地震の被害を大きくしてきた。アーザルバーイージャンの中心、タブリーズはイル・ハーン朝(モンゴル帝国フ レグ=ウルス)以来、多くの王朝が都し、あるいは重要な機能をになってきた都市である。にもかかわらず、19世紀以前と思われるような古い建物は皆無に等 しいと言われる。それはひとえにこの地域に非常に多い地震と洪水のせいである。

イランの農村は、パフレヴィー朝末期の農地改革と、イスラーム政権による政策によって、農地の集積がほぼ解消しており、中小自営農民による経営が一 般的である。その結果、今回のような天災に遭遇した場合、地主による復旧やワクフによる互助復興も望めなくなっている。したがって復旧を担当できるのは地 方政府、中央政府のみである。1994年のホラーサーン地震では、内務省主導できわめて効率的な救援・復興が行われたが、財政的負担もまた大きかった。こ の地方の建築では、伝統的にあえて軽い日干し煉瓦を用いている。これは壊れることを前提とした発想である。崩れたらまた積み上げればよろしいということで ある。しかし人的被害や、農地の破壊は、また積み上げるというわけにはいかないのである。

過去の統計からいって、ほぼ5から10年に一度は大規模な地震に襲われることがわかっている(ここ10年は2年に一度)。にもかかわらずイランの災 害保険の整備は、非常に遅れいている。これはイスラームの予定説的発想を単純に解釈してしまったからである。確かに保険という制度は、神の為した天災に対 する「抵抗」に見える。しかしその天災から生き残った人々を援助することも、イスラーム法上定められた義務である。保険に対する解釈はこの二つの間を揺れ 動いている。イランはシーア派であるためエジュティハード(イスラーム法解釈)が認められている。近代保険制度に対するイスラーム政治思想的裏付けが緊急 に求められている現在、エジュティハードの積極的活用が必要であろう。これはひいては現代政治思想のイスラームへの連結にもなる(あるいはこれこそが危険 性とみなされるかもしれないが)。

Jacques Chirac est réélu président de la République – Le Monde Interactif

Jacques Chirac est réélu président de la République – Le Monde Interactif

さもありなん。ル=ペンも20%届かなかったというし。一応今回については、極右の急激な伸長というより、中道左派の退勢と分裂に問題ありというこ とで結論。ここのところの一連の南欧およびデンマークでの左派の敗退から考えて、今後予定されるドイツの総選挙への影響は必至。しかし欧州議会はあいかわ らず中道左派が押さえているのでEUの基本はしばらくは変わらないかと思われ。結局ブレアにはじまり、ブレアに終わるか……。

共産党がシラクを支持するという珍しい構図は、ネパールで王国政府を共産党が運営するという事態以来。

日本レコード協会、コピーコントロールDiscの表示基準を制定 – AV Watch

例のavexが出した違法コピーをはねるように細工をしたAudio CD「まがい」のもののロゴマークが決定した。違法コピー自体を非難することは別にかまわないが、このまがいものはCD-DAの仕様標準を規定するRed Bookの違反しており、厳密な意味ではCD-DAではない。したがって再生することができないCDプレイヤーも存在しうる。にもかかわらず、まるでCD-DAであるかのようにして売るというのはいかがなものか。

蘭Phillips社と並んでCD-DAの仕様を策定した日SONY社もこれをCDとはいえない(つまり見慣れたこのロゴが使えない)として配慮を求めている(ちなみにPhillipsは激しく反発している)。HTMLだのUnicodeに限らず、「標準仕様」がなんのために策定されるのかを考える必要がある。策定されるのはDe Factoな標準では困ることがあるためなのだから。詳細はZDNN:コピーコントロール機能付きCD――問題点は何か?(1/2)を参照。

加藤紘一氏の議員辞職、バイオ業界に余波・政界パイプ詰まる-日経B2O

加藤紘一元自民党幹事長の議員辞職が、バイオ業界に波紋を広げている。加藤氏はライフサイエンス推進議員連盟会長として、バイオ分野の国際競争力強化をめざす国家総合戦略作りに積極的に動いていたからだ。せっかく築いた業界と政界とのパイプを絶やすまいと、尾身幸次科学技術担当相を後継者に推す動きも活発化してきた。

ちょっと険のある顔をしてるけれど尾身さんは結構以前から注目していた人なのです。

世界に恥さらした「日本のバカップル」

昨日に引き続き、ZAKZAKによる。ちなみにネタ元はロイター。

ZAKZAKでは日本の恥、とばかりに書き立てていますが、別に元記事がそこまでえぐく報じてるわけじゃありません。ある意味、日本の反欧米感情はこういうことで掻きたてられるのかも。日本語の報道って、どうしても説教くさくて公式発表のようなものか、そうじゃなかったら週刊誌的になるんですよね。なにかこう、良質な皮肉を混ぜた評論のような書き方って確立されないんでしょうか。産経もここのところ西船図書館焚書事件といい、ちょっと色が出過ぎている気もします。

しかし六カ月も世界旅行とは素晴らしい。いったいどこにいったんでしょう。「空港に着いた」というのだし、のほほんとしていたというのだから、イスラエル入国の際に異常に検査が厳しくなるシリアなどは行っていないのでしょうが。中東を六カ月ふらふらすれば相当世界観が変わるかもしれませんね。

ネタもと

日露で対照的 鈴木氏の印象-フロム サハリン

日露で対照的 鈴木氏の印象-フロム サハリン

別に鈴木宗男氏を擁護するわけではないが、物事を一つのフィルターだけを通して見ると、ひどい歪み方を持った像しか浮かび上がらないことがある。フィルターはたくさんあるのだ。フィルターなしに物事をみることはできないが、いくつかのフィルターを通してみてもよいだろう。そうでなければ合衆国の「悪の枢軸」的発想を笑い飛ばすことはできない。なぜならば「悪の枢軸」を笑い飛ばす一方で、鈴木宗男氏を悪としてのみ断罪するとき、それは二重基準を我々が適用していることになるからである。

JAL/JAS経営統合に待った

JALとJASとの経営統合に公取委か ら待ったがかかった。経営統合されれば、東京-地方路線でもシェア100%のとんでもない状況がさらにいくつも生まれるので当然のことである。現状でも寡 占といわれて仕方がないのだ。その寡占状況で儲けをはじき出せないということは、競争の方法か、あるいは国の航空政策かどれかが間違っていると言うことで ある。

札幌ビズカフェが閉店。来秋再オープン(北海道新聞)

札幌ビズカフェが閉店。来秋再オープン(北海道新聞)

道 内の情報技術(IT)ベンチャーの交流拠点「札幌ビズカフェ」(札幌市北七西四)が十五日、閉店した。同日夜、同カフェで開かれたさよならパーティーで、 同カフェに土地建物を提供した伊藤組(本社・札幌)の伊藤義郎社長は、閉店後の跡地に同社が建設するビルの一部を再び同カフェに提供する意向を明らかにし た。再オープンは来年秋の予定。

聞き慣れないかもしれないが「サッポロバレー」という言葉がある。北海道の情報通信系ベンチャーが集まる札幌駅北口を指す言葉である。札幌の街の中 心部は札幌駅の南側に広がっており、大通りが中心となる。北口側はここ数年急速に整備が進んだ区画である。ひしめく、という表現はまだ当たらないかもしれ ないが、北口に新しいタイプの企業が集中してきたのは事実であり、その中心がこの「ビズカフェ」であった。

北口方面はまた、駅北西方面に広大な敷地を持つ北海道大学と近接している。ここに「ビズカフェ」の意味が見えてくる。実はサッポロバレーの創業者達 は北海道大学出身者が多い。新技術の開発には、大学と企業のコラボレーションがきわめて大きな意味を持つ。北海道大学の青木教授は、そのような場として 「ビズカフェ」を発想した。新しいタイプの産官学クラスタの交流の拠点、象徴が「ビズカフェ」であったのだ。

その「ビズカフェ」が閉店するという。もっともこれは所在地にビルが建設されるためで、新たなビルには再びビズカフェが入居するとのこと。NPOとしてのビズカフェの将来を見ることができるのは来秋とのことである。

東京駅及び周辺の整備計画について

東京駅及び周辺の整備計画について

JR東日本は、東京駅及び周辺の整備として、

  • 東京駅丸の内駅舎を創建当時の姿(3階建て)に復元します。
  • 丸の内駅舎の前面中央部を、駅舎と一体となった広場として再整備します。
  • 鉄道会館ビルの撤去により八重洲駅前広場を再整備し、ツインタワーを建設します。

これらにより、首都東京の中央駅にふさわしい「顔」づくりを行うとともに、駅前広場機能の質的向上にも貢献いたします。

東京が「東京」になる。新丸ビルの建設計画から活性化した丸の内再構築の波は、ついに八重洲へと及ぶ。八重洲側は本当にパッとしなかった。進展が楽しみである。

CNN.com – U.S. journalist Daniel Pearl is dead, officials confirm – February 22, 2002

CNN.com – U.S. journalist Daniel Pearl is dead, officials confirm – February 22, 2002。パール記者が殺害されていたことが確認された。ヴィデオテープが送りつけられ、処刑の場面も不鮮明ながら入っていたと言う。

ジャーナリストの殺害の持つ意味は、イスラーム政治論的にどのように解釈するのか。聞くべきは神の言葉のみなのか。だれかそういう議論を展開していないかな。

アフガン航空相殺害事件

  • 例の航空相殺害事件CNN.com – Officials: Afghan minister assassinated – February 15, 2002によるとハーッジによるものではなくて、高官関与の暗殺事件の可能性アリとか。これはほとんど戦国ですな……。
  • ちなみになぜCNNなのかというと、Sidebarからの使い勝手がよいためです(CNN.com Expanded Barインストール)。それからmozillaでは私が贔屓にしていたInternational Herald Tribuneが一時期見られなくてなんとなく乗り換えたということがあるためです。
  • とおもったらやっぱりだめですね。International Herald Tribune。Cookie関連が邪魔してる感じですが……。

CNN.com – Afghan minister killed as pilgrims storm plane – February 14, 2002